スマートメーターとは電力やガス等の消費量をデジタル計測し、更に通信機能を有した計量器である。電力計のスマートメーター化が先行しているが、ガスや水道のスマートメーター化の動きもある。
スマートメーター化によりこれまでの有人訪問対応であった検針や設定変更作業等が遠隔かつ自動的に行なうことが可能になり、供給事業者にとって大幅なコストダウンにつながるだけでなく、リアルタイムの消費情報の収集や制御により、計画的な供給や制御等が可能となり、よりコストダウンやサービス向上が見込める。

ホームエネルギーマネジメントサービス
ケーブル事業とスマートメーターはあまり接点が無さそうではあるが、2014年7月号で紹介した「レジデンシャルゲートウェイサービス(RGW)」の1サービス要素にホームエネルギーマネジメントシステム(HEMS)があり、そのHEMSの1形態として、スマートメーターを介しての使用電力量の計測が挙げられる。
スマートメーターとHEMS機器との通信インターフェースやプロトコルの標準化によって、HEMS機器にて30分単位の電力使用量や電流値等をスマートメーターから収集することができるようになった。
現在のHEMSサービスとしては収集したデータを基に電力使用量の可視化(グラフ等)や利用量に応じた宅内家電機器等の制御等が挙げられ、その応用としてホームオートメーションやスマートホームと呼ばれる家庭内設備機器の集中管理や自動化を図ることができる。
これまでの消費電力量の計測は宅内の配電盤や電源ケーブル等に架線電流計(クランプメーター)という特殊な計測器を取り付けて行なうのが主流であったが、スマートメーターの普及により、簡易に計測を行なうことが可能となり、HEMSの普及にも弾みがつくものと考える。

ちなみにスマートメーターの通信ネットワークには、AからCの定義があり、スマートメーターと電力・ガス供給事業者間を結ぶAルート、スマートメーターと宅内HEMS機器間を結ぶBルート、Aルートを介して供給事業者側に収集されたデータを第三者に提供するためのCルートがある。
BルートでのスマートメーターとHEMS機器との通信インターフェースには、宅内電力線(PLC)や省電力無線が採用されている。

HEMS/RGWサービスの普及に向けて
今回、スマートメーターについて紹介したが、ケーブル事業者においては、これまでの放送・通信サービスにおける豊富な経験や認知力を有しており、HEMSを始めとしたRGWサービスの提供においても優位にあると考える。
RGWサービスにおいては、HEMS以外にも安心・見守りやセキュリティ、宅内環境の遠隔確認・操作等のサービス機能が具現化されており、利用者の関心度も高いと考える。
しかしながら、インターネットの普及や製品の進歩により、競合他事業者だけでなく、利用者が自らサービス導入を行なうことも可能となってきており、本サービスにおけるケーブル事業者の認知力や市場を広めていくには、これまで培ってきたノウハウをいかに駆使してケーブル事業者ならではのサービス提供を行なっていけるかが重要かと考える。
日本ケーブルラボでも昨年のRGWサービス・機能要件書の策定に引き続き、関連サービスや技術の動向調査を継続して行なっている。
今後もケーブルサービスの利用者および事業者にとって、より良いサービスが提供できるよう努めていきたい。

(本内容は、『ケーブル新時代』(発行:NHKエンタープライズ)2015年3月号に掲載されたものです。)