IPv4アドレス枯渇問題について
日本ケーブルラボ事務局
ケーブルインターネットなどのIPネットワークは、IPアドレスという情報に基づいて通信が行われています。IPネットワークに接続されるすべての端末やサーバーは、このIPアドレスにより識別され、IPパケットが正しく目的とする相手に届けられる仕組みとなっています。
最近、このIPアドレスが枯渇するという問題が、IPアドレスを管理発行している組織であるJPNIC(日本ネットワークインフォメーションセンター)などから提起されました。現在使われているIP通信の仕様であるIPv4では、32ビットがIPアドレスとして使用されており、約43億種類のアドレスを使うことができます。このIPアドレスがBRICs諸国などにおけるインターネットの急速な普及により残り少なくなってきており、早ければ2011年初頭、つまり2年半後には全世界のアドレスを管理しているIANA(Internet Assigned Numbers Authority)の在庫が使いつくされて新しいアドレスを発行することができなくなってしまうと予想されています。(図1参照)

図1 IPv4アドレス枯渇時期の予測(出典:IPv4 Address Report http://www.potaroo.net/tools/ipv4/)
アドレスが枯渇して新しいアドレスを発行することができなくなると、その時点でネットワークの拡大が止まってしまいます。新規ユーザーの加入や新しいサービスの導入ができなくなってしまいます。ネットワーク社会の基盤の拡大が止まってしまうことになり、社会の進歩に大きな制約となることが懸念されます。
この問題は、IPv4よりも新しいIP通信仕様であるIPv6を使うことにより抜本的に解決することができます。IPv6では、IPアドレスに128ビットが割り当てられおり、3.8×1038という莫大な数のアドレスを使うことができます。1038を言い換えると、一兆の一兆倍の一兆倍の百倍という天文学的な数なので、足りなくなる心配は全くありません。
・ケーブルテレビの対応
しかし、ケーブルテレビネットワークをIPv6対応にすることは、そんなに簡単なことではありません。IPv6への移行期には、IPv4とIPv6の両方の機器を運用する必要がありますし、サーバーなどのネットワーク設備の対応を計画的に実施する必要があります。
IPv4アドレスが枯渇した後は、新しく加入する新規ユーザーに配布するケーブルモデムをDOCSIS 3.0準拠のIPv6対応のものにし、IPv6アドレスを付与する必要があります。それに対応するCMTSなどのヘッドエンド側の装置もDOCSIS 3.0対応にする必要があります。また、IPv6アドレスを付与する新規ユーザーは、ネットワークにIPv6仕様でアクセスしてきますが、既存ユーザーは従来通りIPv4でアクセスするので、ルーターやサーバー類をはじめとするネットワーク上の設備すべてがIPv4とIPv6の両方で通信できるようにしておく必要があり、緻密な計画を立てて、慎重に動作を確認しながら、ネットワーク設備のIPv6化を進める必要があります。
なお、ケーブル局によっては、ユーザーにはそのケーブル局のケーブルネットワークに閉じたプライベートIPアドレスを発行し、インターネットとの接続点でグローバルIPアドレスと変換するという運用しているケースがあります。その場合は、IPv4アドレスの枯渇問題の直接の影響は少なくなりますが、Webページなどインターネットに向けてサービスをしているサーバーなどは、インターネットのIPv6化の進行に伴い対応する必要が生じます。
・総務省の動向
ネットワーク社会の発展における重大な影響を認識し、総務省は、2007年8月より「インターネットの円滑なIPv6移行に関する調査研究会」を開催してIPv6に移行するために必要な要件について整理しました。(http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/chousa/ipv6/)
この研究会が発行した報告書では、IPv4アドレスの枯渇前、初期、中期の時期に分けて対応手順を導入するアクションプランを検討しています。
その結果を受けて、関係する業界団体は2008年9月5日に「IPv4アドレス枯渇対応タスクフォース」を発足しました。このタスクフォースは、IPネットワークに関係する13団体が参加し、IPv4アドレス枯渇に対応し、IPv4と共存しながらスムーズにIPv6に移行していくことを目的として活動することを予定しています。
スケジュール感としては、2年半後にIPv4アドレスが枯渇するとして、対応策を講じるためには、今年中にアクションプランを策定し、来年以降、そのアクションプランに沿って必要な対策を講じていくことが計画されています。(図2参照)
・ケーブルテレビのアクションプランについて
ケーブルテレビ業界としても、IPv4アドレス枯渇に対応する方針を定め、計画を立てて対応策を講じて行く必要がありますが、大手のケーブルテレビ事業者はすでにアクションプランの立案など対策を講じつつあります。今後は中小のケーブルテレビ事業者にこの問題の周知をはかり、対応を進めることで、枯渇期を迎えた時に顧客に迷惑をかけたり、事業の展開に支障をきたさないようにする必要があります。
日本ケーブルラボでは、日本ケーブルテレビ連盟と協力し、インターネット業界の動きと連携してケーブルテレビ業界に必要な対策を講じる活動を行っていく予定です。

図2 アクションプラン全体図(出典:インターネットの円滑なIPv6移行に関する調査研究会報告書
(http://www.soumu.go.jp/s-news/2008/pdf/080617_2_bt1.pdf)
【参考リンク】
■(社)日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)
http://www.nic.ad.jp/ja/ip/ipv4pool/
■総務省「インターネットの円滑なIPv6移行に関する調査研究会」
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/chousa/ipv6/
http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/chousa/ipv6/
■IPv4 Address Report
(APNICのGeoff Huston氏が日次でアドレス在庫状況予測を更新しているページ。)
http://www.potaroo.net/tools/ipv4/
(APNICのGeoff Huston氏が日次でアドレス在庫状況予測を更新しているページ。)
http://www.potaroo.net/tools/ipv4/
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