DLNAについてはご存知の方も多いであろう。Digital Living Network Allianceの略で、家庭内LAN(ホームネットワーク)上で異なるメーカーのAV家電機器やパソコン等の情報家電が相互接続・連携ができるようにするために結成された業界団体のことを指すが、DLNAにて策定されたガイドラインを基にしたサービス機能として広く理解されている。
これまでDLNAと言うと、DLNA対応のDVD/ブルーレイレコーダーや録画機能を持つTV等に個人的に録り貯めたTV番組や写真等のデジタルコンテンツを同一ホームネットワーク上にある同じくDLNA対応のTVやスマホ/タブレット等から視聴するサービス利用形態であった。
CVPは新しい技術規格やサービスの定義ではなく、Commercial Video Profileといい、DLNAの「Device Profile」カテゴリーのうち、サービスプロバイダーやコンテンツ配信事業者がDLNA上で“Commercial(商用)”コンテンツの配信を行うためのDLNAガイドラインである。CVP-2は、その第2版として2014年3月にリリースされた。
CVP-2ではHTML5 RUI、MPEG-DASH、DTCP-IP、TR-069、省電力化等の技術仕様対応をガイドラインに含めており、利用者に対するグラフィカルなメニューインターフェースや視聴環境に応じたストレスフリーなコンテンツ配信、およびコンテンツ保護や遠隔サポート等の機能を提供することを可能としている。

実際のサービスや端末は今後、サービス提供事業者や機器ベンダーから商品化されてくることになるが、次のようなサービスやメリットが利用者およびサービス提供事業者、機器メーカーにおいて享受可能となる。
利用者はこれまでの家庭内機器間の視聴に加えて、CVP-2対応のSTBやゲートウェイを介して、ホームネットワーク外(例えばクラウド上)のサービス提供事業者側が作成したHTML5ベースのグラフィカルなユーザーインタフェースや番組表を利用して、サービス提供事業者が配信するHDコンテンツをホームネットワーク内のTVやスマホ/タブレット等の端末にて視聴することが可能となる。また、遠隔サポート機能によって問題解決に関する状態確認や対応をサービス提供事業者に託することもできる。
サービス提供事業者においては、これまで“TV Anywhere”サービス等において、サービス提供事業者が個別に配信技術や認証技術を組み込んだ配信システムや視聴アプリをOSや機器に応じて開発・改修していた形態から、CVP-2に準拠した標準化技術や仕組みを利用することによって、特別なアプリを開発せずにサービス提供することが可能となり、サービス開発期間の短縮や開発・運用コスト削減の効果が期待できる。
また、遠隔サポートによって利用者側問題の早期解決や設置サポート等により、顧客対応コストの削減や顧客満足度の向上を図ることができる。
機器ベンダーにおいてもサービス提供事業者ごとの採用技術に準拠した製品を開発する必要がなく、CVP-2に準拠した製品化のみで開発コストを下げることが可能となる。

米国CableLabsでは、米国仕様のMPEG-2 TSからHTML5にマッピングする等の拡張機能を入れたRDKとの親和性が高いオープンソースのプログラム提供を開始した。
また、ケーブル事業者向けの相互運用性のための検証環境の提供も開始する。
米国では今年のCES(Consumer Electronics Show)にて機器/ソフトウェアベンダー等から対応製品・ソリューションが参考出品されており、今秋よりDLNAによる認定テストも開始される予定である。
今年末から来年にかけて対応製品・サービスが市場に出てくることが予想されるが、引き続き動向を注視して行きたい。

(本内容は、『ケーブル新時代』(発行:NHKエンタープライズ)2014年10月号に掲載されたものです。)