ハイブリッドキャスト実証実験について
平成27年3月23日
株式会社中海テレビ放送
編成部 三浦健吾
中海テレビ放送は、これまで地域情報にこだわりコミュニティチャンネルでの自主制作番組制作に力を入れてきました。中でも近年、台風や警報発令時に防災情報を地域住民に伝える重要性が増しています。今回、実証実験に取り組んだのは、ハイブリッドキャストやアプリなど新しい技術を活用することで、これまで以上に防災情報を分かり易く、的確に、迅速に住民に伝えることができるかを確認する事が目的です。
当社が事業主体となり、株式会社サテライトコミュニケーションズネットワーク(以下SCN)、株式会社メディアキャストがシステム開発を担当しました。また今回、番組を同時生放送するコミュニティFMのDARAZ FMにも協力して頂きました。
さて、今回開発したハイブリッドキャストの特徴は、視聴者が見たい情報を任意で選び、TOP画面をパーソナルにカスタマイズできるところです。視聴者の年齢やお住まいの地域によって知りたい情報は異なります。視聴者が知りたい情報に対応し画面をカスタマイズできる機能は、従来のデータ放送では実現できなかった機能といえます。
ハイブリッドキャストの画面は「地域防災情報」「道路情報カメラ画像」「みんなの伝言版」の3つのコンテンツから形成されています。「地域防災情報」は、Lアラート、鳥取県安心安全メール(トリピーーメール)、コミネット(SCNが提供する情報サービス)から受信する29種類の地域情報の中から、視聴者が知りたい情報を選択してTOP画面に表示する事が出来ます。「道路情報カメラ画像」は鳥取県西部の24地点の道路情報カメラ画像の中から2箇所を選択しTOP画面に表示できます。通勤ルートのカメラを選択しておけば、出勤前に渋滞状況や積雪状況などを確認できます。「みんなの伝言板」は視聴者がメール投稿した情報が画面上に掲載されます。イベント告知や困りごとなど住民が情報発信でき、また弊社にとってもコミュニティチャンネルでの取材情報源となります。住民からの情報は、朝の生放送番組で紹介し、この番組はコミュニティFMでも生放送されるなど、視聴者との双方向の番組連動を実験しました。
ハイブリッドキャストコンテンツ開発にあたり配慮した点は、「画面の見やすさ」と「操作のしやすさ」です。「画面の見やすさ」については、ケーブルテレビの視聴者層を考慮し、高齢者にも見やすいよう全体的に文字サイズやボタンを大きく設定しました。また、色やアイコンデザインで識別しやすいように工夫しました。「操作のしやすさ」については、地図を活用してビジュアル的に操作できること。また、防災情報が29種類もあったので、情報をカテゴライズして選択しやすい工夫を実施しました。
システム開発では、テレビ側のハイブリッドキャスト受信機能が機種によってばらつきがある為、安定的に画面を表示させることに苦労しました。特にボタンを透過から表示させるアニメーションなどで、受信機によって動作にばらつきがあり複数の受信機で動作検証し、一番表示速度の遅い受信機でも問題なく動作するように、最適のアニメーションスピードを算出しました。安定的に画像を表示させるために、コンテンツの情報量と動作仕様を精査すること。また、複数のテレビで動作検証をする必用がある点が今後ハイブリッドキャストサービスを正式運用する際の課題といえます。
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