2022年9月に、米国CATV技術協会(SCTE)主催の「CABLE-TEC EXPO 2022」が、3年ぶりに対面形式で開催されました。日本ケーブルラボでは、一般社団法人日本CATV技術協会主催の視察ツアーに参加し、ケーブル技術の最新技術動向を調査しました。
開催テーマ |
Creating Infinite Possibilities |
開催場所 |
Pennsylvania Convention Center(米国 フィラデルフィア) |
開催期間 |
2022年9月19日(月)~ 9月22日(木)(現地時間) |
開催規模 |
出展社223社、ワークショップ60セッション |
エグゼクティブサマリー
メインテーマ |
「10G」のブロードバンドインフラ化(2019年と同様) |
キーワード |
- DOCSIS 4.0
- コヒーレントPON(将来技術)
- 分散アーキテクチャー(DAA:Distributed Access Architecture)
- 品質管理(PNM:Proactive Network Management)
- 裸眼3D(Light Field)
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アクセス回線の広帯域化(DOCSIS4.0、コヒーレントPON)
コロナ禍におけるトラヒック急増の流れを受け、米国ではアクセス回線(DOCSIS3.1⇒DOCSIS4.0)の10G化を推進しています。日本では、BS中間周波数帯(1GHz帯)がDOCSIS4.0の周波数帯と被るため、引き続きPONへの移行が必要です。
将来技術として、米国Cable Labsが位相変調によるコヒーレントPON(波長あたり100Gbps)の検討を推進しています。より広域のカバレッジとさまざまな回線(DOCSIS、PON、Mobile backhaul、FWA)のエッジアグリゲーションが期待されます。
アクセス回線の分散アーキテクチャー(DAA)
DAAは、広域エリアの効率的な加入者収容をはじめ、ヘッドエンドのスペースや電力の削減などへの効果が期待されます。日本においても、サブヘッドエンドを建設する代わりにリモートOLTを柱上設置するなどが想定されます。ただし、すでにFTTH化が進んでいる事業者も多く、ヘッドエンド側の仮想化も含め、残るエリアで対応する場合の費用対効果の検討が必要です。また、アクセスベンダロックイン解除の良い機会と捉えることもできます。
アクセス回線の品質管理(PNM)
PNMは、HFCの品質管理手段として運用されており、品質劣化原因の約70%が特定できるとされています。予防保全的に対応できることで、CX向上、コスト効率アップに繋がります。日本においては、FTTHの品質管理手段が検討課題となっています。
Wi-Fiの屋外利用
MNOへの支払い費用抑制のためスマホ(Dual SIM)で自社Wi-Fiへオフロードさせること(COMCAST)や、プライベートのWi-Fiをホットスポット的に利用するコミュニティWi-Fiの取組み(米国Cable Labs)は、キャリアに対抗する手段と考えられます。ただし、電通データによると、日本でのスマホ動画視聴のほとんどが宅内利用であることから、屋外利用にどこまで対応すべきか、投資効果の評価が必要です。
裸眼3D(Light Field)
米国Cable Labsブースで、Light Fieldのディスプレイが展示されていました。Light Fieldとは、複数の視点で同時に撮影することで、肉眼で見たときの感覚に近い映像を生成する技術のことで、次世代映像技術として注目されています。
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