日本ケーブルラボは2019年10月30日(水)、品川プリンスホテルにてラボ オータムセミナー2019を開催しました。第I部は第43回ラボ技術セミナー(午前)、第II部は国際セミナー(午後)、第III部は情報交換会の3部構成です。なお第II部国際セミナーは、一般社団法人日本ケーブルテレビ連盟、一般社団法人日本CATV技術協会より協賛、総務省より後援を受け開催しました。

1. 開催内容と参加人数
【第I部】第43回ラボ技術セミナー 157名
【第II部】国際セミナー 116名
【第III部】情報交換会 94名
(会員別参加状況 正会員33社、賛助会員22社)

2. プログラム
当日の講演資料・動画はこちらに掲載しています。会員ログインの上、ご覧ください。

【第I部】第43回ラボ技術セミナー
(1) 2019年度の研究・調査活動報告(日本ケーブルラボ)

①活動総括
2019年度ラボの主な活動状況として、仕様改定・技術調査報告書発行(集合住宅通信高速化調査報告書改定、ケーブルDLNA運用仕様改定等)、認定審査概要、ハンズオン実施状況、ケーブル技術用語検索サービス概要、ワークショップ実施状況(ケーブルIPv6最新動向、地域BWAとLPWA連携によるケーブルアプリ実証等)について報告しました。
②事業企画委員会の活動報告
事業企画委員会の2019年度の検討テーマである次世代映像サービスの在り方において、都市型サービス(パーソナルレコメンド)、地方型サービス(ケーブルお買い物)、共通型サービス(遠隔診療)、ならびに臨場感映像サービスの取組み状況について報告しました。
③技術委員会の活動報告
技術委員会の2019年度検討事項(ホームIoTセキュリティガイドライン策定、AR/VR映像のサービス要件と運用仕様策定、AIシステム構築ノウハウと実証実験、4K字幕・文字スーパー運用仕様策定、ハイブリッドキャストのサービス要件・運用仕様策定、マルチキャストABR調査と実証実験)について実施状況を報告しました。
④Wi-Fi関連運用仕様(メッシュ、リモート保守)
Wi-Fi APの性能評価、メッシュWi-Fiの性能評価(無線カバレッジ、スループット、ハンドオーバー)、メッシュWi-Fi導入に伴う考慮ポイント、宅内Wi-Fiリモート保守システムについて実証実験結果を交えて報告しました。
⑤ITU-T SG9活動状況
IP放送技術基準を含むRF+IPケーブルシステムの要件、業界ACS、開発途上国のデジタルケーブルTVシステム導入支援といったITU-T SG9におけるラボ活動状況、及び日本メンバの主な活動状況、ならびに他国の提案概要について報告しました。
⑥G-PON相互接続実証実験報告
異ベンダのG-PON OLTとONUの相互接続を規定したG-PON相互接続運用仕様(SPEC-036)の概要、実証実験概要と実証試験結果について報告しました。
⑦第3世代STBの業界ACS接続機能認定
第3世代STBが接続するケーブル業界のACSの初期設定、視聴情報収集などのSTB遠隔管理機能の概要、及びこの業界ACSに接続する第3世代STBの認証試験の概要を説明しました。
⑧5G実証実験
総務省案件として実施した、28GHz帯におけるローカル5Gを用いた実証実験について、情報通信研究機構(NICT)での電波暗室/人工気象室での電波伝搬試験、愛媛CATVやジェイコム東京エリアでのフィールド実証試験について、その結果および伝送品質測定結果について報告しました。
⑨ホームIoT関連標準化とサービス提供状況調査
ホームIoTの業界最新動向、ケーブル事業者における取組み状況、標準化に関するアンケート結果報告、ならびに今後の課題とその対応について説明しました。
⑩コンテンツセキュリティの最新動向
コンテンツセキュリティ技術を概観した後、最新技術として注目されるCPIX及びBlockchainの概要と活用方法について紹介しました。
⑪海外技術調査報告
2019年度に開催された国際技術展示会(COMPUTEX、ANGA COM、Cable Labs Summer Conference、SCTE EXP)について、総論、ポイント、個別技術分野の動向を報告しました。
⑫ラボ教育制度
ラボが主催する教育制度(JQE資格検定制度、eラーニング(JQE基礎講座、ソフトウェア基礎講座))について、制度の内容と現在の受講状況などを報告しました。

(2) 特別講演
「CATV事業者様向けローカル5Gへの取り組み」NECネッツエスアイ株式会社 織田 和彦 氏
2020年度以降、ケーブル事業者が新たに参入するローカル5G(28GHz帯)における5Gのシステム構成(NSA/SA方式)、ケーブルSDN、ローカル5Gのユースケース(集合住宅向けアクセス、自治体向け安心・安全ソリューション、工場、企業向けSDNとAIを活用した付加価値サービス)についてその取組み状況を紹介しました。

【第II部】国際セミナー
(1) 海外の次世代ケーブルネットワークの最新動向(ベル研究所)

「次世代ケーブルネットワークの在り方」
次世代ケーブルネットワークの在り方について、米国事情も交えつつ、周囲の環境・技術動向の観点から報告しました。また、光化とSDN(Software Define Network)を駆使してネットワークの柔軟性を高める技術や、AAA(Authentication, Authorization, Accounting:認証、認可、課金)に対する取り組みについても紹介しました。

(2) 米国ケーブルラボの最新技術戦略(米国ケーブルラボ)
①「米国ケーブルラボの10Gロードマップ」

米国におけるビデオ市場とブロードバンド市場の動向を紹介し、高速化、低遅延、Wi-Fiの改善、セキュリティの改善、ネットワーク統合の観点から、10Gbps化に向けた今後のロードマップについて報告しました。
②「有線系技術開発の最新動向」
DOCSIS 4.0、コヒーレント光アクセス、コヒーレントPON、ならびにコヒーレントPONによる100Gbpsの統合光ネットワークなど、有線系技術の最新動向について報告しました。
③「無線系技術開発の最新動向」
5Gに対するケーブル事業者の戦略と5Gの主要な技術を紹介するとともに、有線との統合アクセスやバックホールへの適用、仮想無線アクセスネットワーク(vRAN)など、無線系技術に関する取組み状況について報告しました。
④「サービスアプリの最新動向(eスポーツとクラウドゲーム)」
米国におけるサービスアプリの最新動向として、eスポーツの利用状況とクラウドを使用した最新ゲーム事情についてその環境と技術を紹介しました。
⑤「サービスアプリの最新動向(没入感メディア体験)」
米国における次世代映像視聴方法の1つとして、VR/AR/MRを使用した体験型メディアとサービスアプリの最新状況について紹介しました。

【第III部】情報交換会
同会場にて、本年7月に実施した2019年度前期JQE資格検定試験合格者19名へのJQE(JLabs Qualified Engineer)資格認定証の授与式を行いました。
※JQE(JLabs Qualified Engineer)資格についてはこちらをご覧ください。