1.経緯と目的
2013年2月よりDRM-WGを設置し、ケーブル業界としてのDRMに対する要求仕様と技術仕様の検討を開始しました。その中で、メンバー事業者から複数のDRM仕様が混在する状況を解消するべく、ガイドライン策定の要望がありました。
今後展開されるIP-VOD、IPリニア放送サービスを想定し、ケーブルプラットフォーム適用も視野に入れ、ケーブル事業者が、DRMシステムの構築に際して指針となることを目指し、策定を行いました。
2.ガイドライン概要
想定されるユースケースを下図に示します。コンテンツは権利保護された状態で、ケーブル事業者ネットワークを経てケーブル加入者宅内のSTB端末または非STB端末に配信されます。また、このコンテンツは権利保護された状態で宅外に伝送され、リモート視聴サービスにも使用されます。さらに公衆IPネットワーク経由でコンテンツが権利保護された状態で、宅外の非STB端末に直接配信されるサービスも想定します。

DRM全体構成例
DRMは、IP放送やIP VODサービス等のコンテンツ権利保護を行う仕組みであって、放送のCASに相当します。一般的なコンテンツ視聴におけるDRM全体の想定される構成例を下図に示します。コンテンツがエンコーダ/トランスコーダでフォーマット変換されてDRMシステムに入力されます。DRMシステムでは、DRMクライアントからの視聴要求でコンテンツ権利保護のための暗号化とDRMクライアントに対するライセンス付与(復号鍵生成等)を行います。暗号化されたコンテンツは、コンテンツ配信サーバによりDRMクライアント(ユーザ端末)に配信されます。本図の①~⑨は、ユーザからの視聴要求からコンテンツ視聴までの手順を示したものです。

図 DRM全体構成図の例
DRM要求条件
DRMに対する要求条件として、コンテンツの権利保護、ドメイン機能、再生期間制御、アダプティブビットレート対応、マルチDRM、HDコンテンツの利用(将来的に4K/8K映像)等があります。その一例として、ドメイン機能とマルチDRMを以下に説明します。
ドメイン機能
ドメイン機能の概略を下図に示します。同じドメインに属する端末でのコンテンツ再生は可能ですが、異なるドメインでは再生ができません。ダウンロードサービスにおけるコンテンツのライセンス(視聴権限など)の共有を目的とするのみならず、ユーザ側でローカルに暗号化コンテンツの複製を行うため、ネットワーク側の帯域幅(リソース)負担を軽減することができます。

マルチDRM
マルチDRMの例を下図に示します。コンテンツを暗号化する鍵は共用し、端末の要求に応じて、暗号化されたコンテンツを復号するときは、それぞれのDRMを利用します。
