BS4K放送は試験放送が2016年から開始されます。試験放送はBS右旋の1トランスポンダー(BS17ch)を用いて行われますが、1トランスポンダーで放送できるのは最大3チャンネルであり、外に使えるトランスポンダーがないことから、次の実用放送に向けては、参入希望が3チャンネルを超える場合に備えてBS17ch以外にもう1つトランスポンダーを確保することが検討されています。
具体的には、現在BS放送事業者に割り当てている帯域を、例えば1チャンネル24スロットから16スロットに減らして帯域を生み出し、かつ帯域再編を行って新たなトランスポンダーを確保するものです。これが実施された場合、ケーブルへは次の影響が考えられ、視聴者への注意喚起等が必要になります。
① 録画予約の失敗
帯域再編で移動するチャンネルは物理周波数が変わるため、再編前にその番組を録画予約した場合、放送時に録画機でのチューニングができずに録画に失敗します。従って、再編後に録画設定をし直す必要があります。
2011年10月の帯域再編(WOWOWのトランスポンダ間の移動)の際には、BS放送事業者がEPGに再編時刻までの番組しか表示しないようにして再編後の番組の録画予約を制限するといった対応が行われました。今回も同様の対応が検討されると思われます。
② ブラックアウト
ラストビューのチャンネルが移動するとBS選局時にブラックアウトします。但し、チャンネルアップ/ダウンなどで移動していない番組を選局して番組情報(NIT)を取り直すことにより正常に復帰します。101chまたは103chが移動すると、IFパススルーのシステムで、買ったばかりのTVで初めにBSを選局した時にブラックアウトすることがあります。この場合もチャンネルアップ/ダウンなどで正常に復帰します。
③ 画像品質の低下
1スロット当たり伝送できるビットレートは最大約1.08Mbpsです。1チャンネル当たりのスロット数を24から16に減らすと、最大ビットレートが25.9Mbpsから17.3Mbpsに減少するため、画質の低下が懸念されます。
④ 6MHz帯域での伝送効率の低下
ケーブルネットワークは、64QAMで約29Mbpsの伝送容量を持っていますが、そこに約17Mbps(16スロット分)の情報量しか伝送されず、Nullパケットが増加し、伝送効率が低下します。
⑤ BSトランスモジュレータの設定変更
HFCシステムの場合、HEに設置されたBSトランスモジュレータの受信周波数を設定し直す必要があります。
《参考》割当スロット数変更と帯域再編の例

○ 24スロット割当てられているのは6放送事業者、8チャンネル
BS日テレ、BS朝日、BS-TBS、BS Japan、BSフジ、WOWOW(プライム、ライブ、シネマ)
○ この内BS4K実用放送に参入を希望する事業者が6社として、そこに割り当てているチャンネル6つのスロット数をそれぞれ8スロットづつ減らして1トランスポンダー(48スロット)を確保するケース
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