放送番組とSNS連携による視聴者参加型サービス開始
―自社制作番組「てげテレ」で開始―
宮崎ケーブルテレビ株式会社
制作局制作部 部長 児島和生
当社は、放送番組とソーシャルメディアを組み合わせた視聴者参加型の新メディアサービスを4月より開始致しました。平日17:00~18:00に生放送している自社制作番組「てげテレ」内で視聴者から番組宛に寄せられたツイートをピックアップし番組内で表示すると共に、番組公式Webサイトで過去のアーカイブも公開し視聴者がいつでも閲覧可能にしています。他にも以下の取組を行っています。
1)「YouTubeの公式チャンネル」の開設 ・・・ 人気コーナーなどのアーカイブ公開
2)番組公式Facebookページの開設 ・・・ 番組制作スタッフからの機動的な情報発信

番組内表示例
次に、発案から実施までの経緯や苦労した点を述べさせて頂きます。
2011年10月、営業局に企画開発部という、プロモーションに特化したことを専らとする部門が立ち上がりました。従来、キャンペーンの実施やそれに伴う、広告展開やイベント実施などは営業部内でやっていたのですが、加入増に直結することを狙いとしていたため、即効性を重視した施策が中心でした。
しかし、ここ5年ほどの営業的な閉塞感もあり、新機軸を打ち出すべく、営業の戦略面から見直しをはかることとなり、まずは、ともするとどこか古いメディアというイメージを持たれがちだったところを、フレッシュなイメージ、俗にいう “イケてるイメージ” をもってもらえるよう、PR戦略およびSP戦略を策定し、2年がかりで実施する計画を立てました。
そんな中、タイミングよく2012年春に社の中期計画が策定され、 “地域に選ばれる会社へ” をスローガンに、地域における認知度やイメージの向上および、顧客の満足度向上を最優先事項として各部門でそれらを実現するための施策の推進を行うこととなりました。
SNSの投入について、もともとのきっかけは、先述した営業の戦略転換に伴い、イベント展開を活発化させていく中で、情報伝達面における即時性の向上と、地域住民との接触機会の拡大を図るためのソリューションとして使えるのではないかと考えてのことでした。
そのため、当初は会社としてのアカウントを立ち上げようと計画していたのですが、2012年10月に旗艦情報番組 “てげテレ” がスタートしてからは、番組との連動による情報の伝達、拡散シナジーを意識して、番組のアカウントとすることにしました。
そして、ようやく10月より具体的なSNS導入に向けて、社内稟議という段階になったのですが、なにぶんYou tubeまで含めると、CATV局において、ネットでの情報発信にここまで取組んでいる事例はなかったので、実現に向けては少々苦労がありました。
しかしながら、中期計画を策定し、全社的に “変わろう!殻を破ろう!” という意識が共有されており、社内の空気も “やってみようじゃないか!” という意気込みが強く、スムーズに決裁いただきました。
そんな中、私が年明け2013年1月に制作部へ異動となりました。“てげテレ” との連動を主体に、という基本方針はすでに前部署の時より固まっていたので、その意味では1月に番組制作への異動というのは実施面から考えるといいタイミングだったのかもしれません。ということで、制作に異動してからはコミチャンの告知媒体としての価値をさらに高めることに注力するようになりました。
4月のサービス投入まで実質3か月ほどしかない中で、各SNSのサービスデザイン、ツイメディのシステム導入、フィールドテスト、社内のソーシャルメディアポリシーの策定、運用体制の確立、SNSに関する社内および関係者のリテラシー向上策の策定など、やらなければならないことは数多くありました。
中でもソーシャルメディアポリシーおよび利用規約の策定については、近年、情報管理の強化を推進してきた流れの中、ある意味二律背反する部分もあり、社内的な調整に相当苦労した部分ですが、全社協力体制の中、最終的には所管する情報管理委員会にも、今回の取組を前向きに理解頂け、その結果、実施にこぎつけることができ4月15日から、本運用となりました。
今後の目標として、ツイッターおよびフェースブックは専任者が一人で実施しているため、制作部員全体のソーシャルサービスのリテラシー向上を図り、誰が発信者となっても均質な情報発信ができることを目指します。
視聴者の反応と致しましては、MCの誕生日にお祝いツイートを頂いたり、視聴者参加型番組に対する好評のメッセージを多く頂いております。また、Facebook及びYouTubeへのアクセスも順調に伸びております。
最後に、宮崎ではここまでSNSを活用した取組は初めてであり、地域からもそれなりに評価を頂いています。ただ、決して現状に満足せず、より多くの地域住民に興味を持たれる番組づくりやそれに対する創意工夫を行っていく所存です。